保険は一度加入すると「とりあえずそのまま」で放置されがちなものです。しかし、人生の状況は時間とともに変わるため、加入当時は最適だった保険が、数年後にはまったく合わなくなっていることがよくあります。
「保険料を払い続けているけど、実は必要以上に高い」
「保障が足りておらず、もしものときに困ってしまう」
こうしたトラブルは、定期的な見直しで防ぐことができます。
本記事では、保険を見直すべきタイミングと、失敗しない見直しのコツを、初心者向けにわかりやすく解説します。

1. なぜ保険の見直しが必要なのか?
保険は「未来のリスクに備える」ためのものですが、未来のリスクは年齢・家族構成・職業などで大きく変わります。
そのため、人生の節目ごとに見直しをすることで最適化できるのです。
● 見直しを怠るとどうなる?
- 不要な特約がついており、保険料を無駄に払い続けている
- 家族構成が変わって保障が不足している
- 昔のままの保険で、時代に合った保障が受けられない
- 医療保険・がん保険が古い内容で、最新治療が対象外になることも
特に近年は医療技術が急速に進歩しているため、古い医療保険は“時代遅れ”になりやすい点にも注意が必要です。
2. 保険を見直すべき5つのタイミング
保険を見直すタイミングは意外と多くあります。逆にいえば、どれか1つでも当てはまれば“見直し時期”です。
① 結婚・出産など「家族構成が変わるとき」
最も大きな見直しポイントです。
家族が増えれば、もしものときに経済的に支えるべき存在が増えるため、必要な保障額も変わります。
例)
- 結婚 → パートナーの生活保障が必要になる
- 子ども誕生 → 教育費のために死亡保障を増額
- 子ども独立 → 死亡保障は減額してもOK
家族構成は人生の中でも大きな変化なので、必ず保険を見直すべきタイミングです。
② 収入が変動したとき(昇給・転職・独立)
収入が増えれば「少し手厚い保障」を検討できますが、逆に減った場合は、
- 不必要な保険を整理する
- 保険料の安い掛け捨てに変更する
- 月々の支払いを抑える
といった工夫も必要です。
収入と保険料のバランスが崩れると、家計を圧迫し将来的に続けられなくなる可能性があります。
“無理なく払える範囲”を常に意識するのがポイントです。
③ 住宅ローンを組んだとき
住宅ローンは数千万円規模の負債です。
多くの人がローン契約時に「団体信用生命保険(団信)」に加入しますが、団信によっては“死亡時の保障”がすでにカバーされています。
そのため、
- 生命保険が重複しすぎていないか
- 過剰な死亡保障になっていないか
を確認する必要があります。
例)
- 団信でローン返済が免除される
→ 過去に加入した死亡保障は下げても問題ないケースが多い

④ 子どもの成長段階が変わったとき
子どもが小さい頃は教育費のために手厚い保障が必要ですが、大学進学や独立が近づくと必要保障額は自然に減ります。
このタイミングで保険料を抑えたり、保障内容をシンプルにする人も多いです。
⑤ 老後が近づいたとき(50代〜)
50代以降は、
- 医療保険の再検討
- がん保険の内容チェック
- 傷病手当金などの会社制度の確認
が特に重要になります。
また、60代を過ぎると保険料が急激に高くなるため、早めに見直すことが節約につながります。
3. 見直しの基本ステップ|初心者でも簡単にできる
「見直しって何からすればいいの?」
という人のために、流れをわかりやすく整理しました。
STEP1:今入っている保険をすべてリスト化する
まずは、「現状」を整理するところからスタートします。
書き出す項目の例)
- 保険会社名
- 保険の種類(医療保険、生命保険など)
- 保険料
- 保障内容(いくら出るのか)
- いつまで続く保険か
これがあるだけで、見直しが一気にスムーズになります。
STEP2:ライフステージ・家庭状況を整理
- 家族構成
- 子どもの年齢
- 住宅ローン
- 貯金(生活防衛資金の有無)
- 働き方
これらが必要保障額に直結します。
STEP3:不要な保険・過剰な保障を洗い出す
次のような保険は“不要または見直し候補”です。
- 似たような特約が重複している
- 昔の契約で内容が時代遅れ
- 保険料が高すぎる
- ライフプランに合わない保障がある
STEP4:不足している保障を把握する
逆に、「足りていない保障」もあります。
例)
- 子どもが生まれたのに死亡保障が少ない
- シングルマザー/父子家庭なのに働けない場合の保障が薄い
- がん保険が古く最新治療に対応していない
必要な保障が揃っているかチェックしましょう。
STEP5:必要な分だけ補う
ここまで整理できたら、ようやく“加入を検討”です。
保険はあくまで「リスクに備えるための道具」なので、
“最小限で最大の効果”を狙うのがポイントです。

4. 保険見直しのコツ|損しないための5つのポイント
ここからは、見直しの際に必ず知っておきたいコツを紹介します。
コツ①:目的をはっきりさせる
保険は「何となく」で入るとほぼ失敗します。
例)
- 子どもが成人するまでの生活費を確保したい
- がん治療に備えたい
- 老後の医療リスクを軽減したい
目的が明確だと、選ぶべき保険が自然と絞られます。
コツ②:貯金でカバーできる部分は保険に頼らない
保険は“必要最小限”が鉄則です。
なぜなら保険料は毎月必ず発生し、合計すると大きな支出になるためです。
例)
- 小さな病気は貯金で対応
- 大きなリスク(死亡・重病)だけ保険でカバー
メリハリをつけることで、家計の負担が大きく減ります。
コツ③:掛け捨てと積立型の違いを理解する
保険には大きく2種類あります。
- 掛け捨て型:安い・必要な期間だけ加入しやすい
- 積立型:貯蓄も兼ねるが保険料が高い
積立型はメリットもありますが、
「貯蓄は自分でできる」「保険料を抑えたい」なら掛け捨てが有利です。
コツ④:古い医療保険は見直し優先度が高い
10年以上前の医療保険は、
- 先進医療の対象が古い
- 手術・入院の基準が今と違う
- 日帰り手術が想定されていない
などのデメリットがあります。
医療の進歩に合わせて保障内容は更新されるため、古い医療保険はとくに見直しが必要です。
コツ⑤:複数社の保険を比較する
保険は会社ごとに大きく特色が違います。
- A社:入院に強い
- B社:がん保障が手厚い
- C社:掛け捨てが安い
1社だけで決めると、必要以上に高くなるケースが多いです。
5. プロに相談するのはアリ?注意点も解説
保険は専門知識が必要なため、プロに相談するのは非常に有効です。
しかし、以下のような注意点もあります。
● 注意点
- 特定の保険を強く勧められる場合がある
- 手数料の高い商品をすすめられることも
- 「見直し=乗り換え」と短絡的な提案をされることもある
相談する際は、
複数の相談窓口を比べる
自分の目的を明確にしておく
この2つがとても大切です。
6. 実例で理解する|家族構成と見直しケース
イメージしやすいよう、例を紹介します。
【ケース1:30代夫婦+子ども1人】
現状)
- 結婚前に入った医療保険のみ
- 貯金は100万円
- 住宅ローンあり
見直し)
- 家族を守るために死亡保障を増やす
- ローンがあるため収入保障保険も検討
- 貯金が少ないため医療保障も整理して手厚く
【ケース2:40代・子どもが大学生】
現状)
- 昔のがん保険
- 死亡保障が過剰
- 保険料が高い
見直し)
- 教育費のピークが終わり死亡保障を縮小
- がん保険を最新型に更新
- 保険料を月1万円以上削減できることも多い
【ケース3:60代・定年が近い】
現状)
- 医療保険なし
- がん保険も古い
- 貯金はそこそこある
見直し)
- 高額医療費制度を踏まえて「最低限」で備える
- がん治療に絞った保障(特に通院)
- 保険より貯金重視のスタイルへ移行
7. 保険の見直しは何年ごとに行うべき?
理想は 2〜3年に1回 のチェックです。
また、以下の変化があれば即見直しです。
- 結婚
- 出産
- 転職・退職
- 住宅購入
- 子どもの進学
- 定年退職
人生の節目とともに、必要な保障は変わります。
まとめ|保険の見直しは“人生を守るための必須メンテナンス”
保険は「入ったら終わり」ではありません。
定期的に見直すことで、家計を守り、必要な保障を確保できます。
◆ 今日のまとめ
- 見直しのタイミングは「人生が変わるとき」
- 見直しは「整理→分析→不要削除→不足補填」の流れ
- 古い医療保険や過剰な保障は見直し優先度が高い
- 掛け捨て型はコスパが良い
- 保険は“必要最小限”が基本
- 2〜3年に一度のチェックが最適
保険の見直しは難しく見えますが、ポイントが分かれば誰でも簡単にできます。


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