「議会って何をしている場所?」「ニュースで“議決”“審議”って聞くけれど、正直よく分からない」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。
議会は、国や自治体の意思決定を行う重要な機関ですが、仕組みや役割はやや複雑に見えます。
そこで本記事では、議会の基本構造・役割・会議の流れ・議員の仕事を、まったくの初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
実際のイメージに近づけるため、例を交えながら「どんなふうに物ごとが決まっていくのか」を順番に見ていきましょう。

1. そもそも議会とは何をする場所?
簡単に言うと、
議会=みんなの代表(議員)が集まり、ルールや予算を決める場所
ということです。
国レベルなら「国会」、都道府県や市区町村レベルなら「地方議会」があります。
いずれも目的は同じで、
- 法律や条例などのルールを作る
- 税金の使い道(予算)を決める
- 行政が適切に仕事をしているかチェックする
といった役割を担っています。
言い換えると、議会は行政(役所)をチェックし、政治の方向性を決める「司令塔」のような存在です。
2. 議会を構成するのは「議員」と「事務局」
議会というと議員だけのイメージがありますが、実際はもうひとつ重要な組織があります。
それが 議会事務局 です。
◆ 議員
- 選挙で選ばれた住民の代表
- 意見を議会で発言し、議案に賛成・反対を表明
- 住民の声を行政に届ける役割も持つ
◆ 議会事務局
- 議会運営のサポート
- 議事録作成、会議準備、資料作成など
- 議会がスムーズに機能するよう裏方を支える専門職
この2つの組織が、議会を動かす両輪となっています。

3. 議会で扱うのは「議案」|議案とは?
議会で扱う中心は 議案(ぎあん) と呼ばれる案件です。
“議案=議会で決めたいことの提案” だと考えると分かりやすいです。
主に以下のような種類があります。
◆ 議案の例
- 条例案(新しいルールを作る、ルールを変える)
- 予算案(来年度の税金の使い方)
- 決算(去年の税金の使い方の結果報告)
- 契約に関する議案(大きな工事や委託)
- 人事案件(副市長などの任命同意)
これらの議案を議会に提出するのは 首長(市長・知事・内閣) が基本で、議会議員から提出されることもあります。
4. 議会の会期=開かれている期間
議会は一年中いつでも開いているわけではありません。
「会期」と呼ばれる期間に限って開催されます。
例)
- 定例会:年4回など、定期的に開かれる
- 臨時会:急ぎの案件があるときに開かれる
会期中に議案の審議・表決(賛成・反対の採決)が行われます。
5. 議案が決まるまでの流れ|初心者にも分かるプロセス
議案が議会で可決されるまでには一定の段階があります。
以下の流れを覚えると「ニュースがぐっと理解しやすく」なります。
■ STEP1:議案の提出
- 市長・知事・内閣が提出する「提出議案」
- 議員が提出する「議員提出議案」
例:来年度の予算案が市長から提出される
■ STEP2:本会議で「説明」
議案が提出されると、まず本会議で概要説明が行われます。
「このお金を何に使うか」「ルールをどう変えるか」などが示されます。
■ STEP3:委員会で詳しい審議
最も重要なのが 委員会審議 です。
議会には複数の委員会があり、担当分野ごとに分かれています。
例)
- 総務委員会
- 福祉委員会
- 建設委員会
議案に関連する委員会で、担当課の職員と議員が詳しく質疑応答します。
ここで何十時間も議論し、問題点や改善点が明らかになることも多いです。
■ STEP4:委員会で採決
委員会の最後には「採決」が行われます。
- 可決(賛成多数)
- 否決(反対多数)
可決された議案が本会議に戻ります。
■ STEP5:本会議で最終採決
委員会の結果を踏まえて、議員全員が参加する本会議で採決が行われます。
ここで「賛成多数」となれば、議案が最終的に成立します。

6. 行政(市役所)が何でも決めるわけではない理由
議会の存在理由は “行政の暴走を防ぐ” ことにもあります。
行政(市役所・都道府県庁)は仕事を実行する機関ですが、
お金の使い方や大きな方針を自分たちだけでは決められません。
必ず 議会のチェック が入り、公平性・透明性が担保されます。
例)
- 市長が勝手に100億円の工事契約を結ぶ → できない
- 勝手に税金の使い道を変える → できない
議会が承認しない限り進まない仕組みになっているのは、住民の利益を守るためです。
7. 議会の3つの大きな役割
議会の役割は大きく分けて以下の3つです。
① 議決機関としての役割
予算・条例・契約などについて最終決定を下す
② 監視機能(チェック機能)
行政が適切に仕事をしているかをチェックする
- 行政報告
- 質問(一般質問、代表質問)
- 決算審査
③ 住民の声を行政に届ける役割
議員は住民から受けた相談をもとに、改善提案を行ったり質問をしたりします。
例)
- 「道路が危ない」と住民相談 → 建設委員会の議員が質問
- 「保育所の待機児童」→ 福祉委員会の議員が議会で提案
議会は住民と行政をつなぐ“架け橋”でもあるのです。
8. 初心者にも分かる例:議会の決定が生活に直結する場面
議会の議決は、実は私たちの日常の多くに影響しています。
例:道路工事
- 道路を整備したい(行政)
- 工事に3億円必要
- 議会が予算・契約をチェック
- 可決されれば工事実施
道路が広くなる、歩道が整備される…などの結果は、議会での議決があって初めて実現します。
9. 議員の仕事は「会議だけ」ではない
議員は議会に出席するだけではありません。
実際の業務は多岐にわたります。
◆ 議員の主な業務
- 住民相談の対応
- 議案の調査・研究
- 委員会活動
- 行政現場の視察
- 政策提案の準備
- 議会運営の会議への参加
議員は住民の声を聞き、解決に向けて動く“政策の専門職”でもあります。
10. 議会がわかるとニュースが読みやすくなる
議会の仕組みを理解すると、
- 予算審議
- 条例改正
- 議会承認
- 委員会採決
といったニュースの意味が一気に分かりやすくなります。
「なぜこの工事が決まったのか」
「なぜこの制度が廃止されたのか」
こうした背景を理解できるようになり、政治との距離がぐっと近づきます。
まとめ|議会は社会のルールと税金の使い道を決める重要な場所
議会の仕組みは一見複雑ですが、ポイントを押さえると意外とシンプルです。
◆ 今日のまとめ
- 議会は住民の代表が集まり、ルールと予算を決める機関
- 議案は「提出→本会議→委員会→本会議」で決まる
- 議会は行政のチェック役であり、暴走を防ぐ
- 議員は調査・提案・相談対応など幅広い業務を行う
- 生活に直結する大事な決定の多くは議会で決まる
議会の仕組みは、社会の動きを理解するうえで欠かせない基礎知識です。
本記事をきっかけに、ニュースや自治体の情報をより身近に感じてもらえれば幸いです。


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