RPA(Robotic Process Automation)ソフトは、日々の繰り返し作業を自動化することで業務効率を大幅に向上させます。その中でも、画面の特定の要素を認識する「画面マッチング機能」は、作業の精度と自動化の範囲を決定する重要な要素です。この記事では、RPAソフトでよく使われる3つの画面マッチング方法「画像マッチング」「輪郭マッチング」「OCRマッチング」について解説し、各手法の特徴や適した使用シーンを紹介します。
1. RPAソフトの画面マッチングとは?
画面マッチングとは、RPAがPC画面上の特定の要素やエリアを認識し、それに対して操作を行うための技術です。画面マッチングを適切に活用することで、RPAの処理精度が向上し、スムーズな業務自動化が実現できます。
2. 画像マッチング
画像マッチングは、指定した画像を基準にして画面上の一致するエリアを検出する手法です。この手法は、特定のアイコンやボタンが画面上にあるかを確認する際に使用されます。
- 仕組み:あらかじめ用意した画像を「テンプレート」として使用し、画面上で一致するエリアを検索します。例えば、特定のボタンの画像やアイコンが画面に表示されているかを検出します。
- 適した使用シーン:
- システム画面で特定のボタン(例:「OK」「キャンセル」ボタン)をクリックしたいとき
- デスクトップのアイコンを認識してアプリケーションを自動起動したいとき
- メリットとデメリット:
- メリット:特定の画像に基づいた操作ができるため、安定してボタンやアイコンを認識できます。
- デメリット:画面の色や解像度が少しでも異なると認識が失敗する可能性があり、UIが頻繁に変更されるシステムには向きません。
3. 輪郭マッチング
輪郭マッチングは、特定の形状や輪郭を基に対象を検出する手法です。色や内部のデザインに影響されずに形状を認識できるため、同一形状のボタンやアイコンの認識が可能です。
- 仕組み:画面上の形状や輪郭を検出し、その形状と一致するエリアを特定します。色や内部のデザインには依存しないため、アイコンの形状が変わらない限り認識が可能です。
- 適した使用シーン:
- 同じ形のボタンが複数配置されている場合の認識(例:特定の申請画面の確認ボタン)
- デザインが微妙に異なるが形が同じボタンを認識して操作したいとき
- メリットとデメリット:
- メリット:色や内部の細かいデザインに左右されず形状のみで判断できるため、同一形状のボタンが並ぶ場面でも正確に認識可能。
- デメリット:輪郭が不明瞭な要素や形状の細かな変化には対応しにくい。輪郭認識がサポートされているRPAツールも限られるため、使用環境を確認する必要があります。
4. OCRマッチング
OCR(Optical Character Recognition)マッチングは、画像や画面上の文字情報を認識し、テキストデータとして取得する手法です。テキスト情報の読み取りが必要な場面で活躍します。
- 仕組み:OCRエンジンにより画面上の文字を読み取り、特定の文字列を検索または抽出します。OCRマッチングでは、画面に表示されているテキストが基準となるため、内容が動的に変わる場合や定型フォーム以外でも認識が可能です。
- 適した使用シーン:
- システムエラーやメッセージウィンドウからエラーメッセージを読み取り、内容に応じた対応を自動化
- 請求書や受注確認書などの書類画像から文字情報を読み取り、データベースに登録する
- メリットとデメリット:
- メリット:画面に表示されるテキストを正確に取得できるため、内容が動的に変わる場面や手入力の代行が可能。
- デメリット:フォントや背景色に影響されやすく、認識率が落ちる場合がある。OCRエンジンの性能によって認識精度が異なるため、事前の検証が重要です。
5. 各マッチング手法の使い分けと選び方
マッチング方法 | 特徴 | メリット | デメリット | 使用シーンの例 |
---|---|---|---|---|
画像マッチング | 画像の一致を基準 | 安定した認識が可能 | 色や解像度に依存 | アイコンやボタンの認識 |
輪郭マッチング | 形状の一致を基準 | 色に左右されない | 輪郭が不明瞭だと認識困難 | 同一形状のボタン認識 |
OCRマッチング | 文字の一致を基準 | 動的な画面で有効 | フォントに依存しやすい | 文字情報の読み取り |
6. 実際のRPAソフトでのマッチング機能の選択例
画像マッチングが適しているRPAソフトの例
- UiPathやAutomation Anywhere:多くのRPAツールで標準的に備わっており、テンプレート画像を指定するだけで対象のアイコンやボタンをクリックできます。
輪郭マッチングが役立つRPAソフトの例
- UiPath AI Computer Vision:画面上の複雑な要素を識別する技術としてComputer Visionを取り入れたツールがあり、輪郭に近い形状での認識が可能です。
OCRマッチングが必須な業務の例
- Blue PrismやUiPathなどのOCR連携機能を持つRPAソフトは、Google OCRやTesseractなどのOCRエンジンと組み合わせて、画面や画像内の文字認識が必要な業務で役立ちます。
7. まとめ:効果的なマッチング方法の活用でRPAの精度を上げよう
RPAソフトの画面マッチング方法には、それぞれに適した使用シーンや特徴があります。業務内容や画面構成に応じて最適なマッチング手法を選ぶことで、自動化の精度と安定性が向上し、業務の効率化がさらに進みます。画像マッチングやOCRマッチングなどの手法を活用して、業務フローに合わせた最適な自動化を実現しましょう。
この記事構成では、各マッチング方法の特徴や使用例、メリットとデメリットを比較し、具体的な利用シーンでの選び方をわかりやすく説明しています。これにより、読者はRPAソフトでの画面認識について深く理解でき、実務に役立てることができるでしょう。
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