Excelで作る表は、単にデータを並べるだけではなく、誰が見ても理解しやすいことが大切です。
しかし、現場では「数字が詰まって見にくい」「どこを見ればいいのかわからない」といった表が多く存在します。
この記事では、初心者でも今日から実践できる「見やすいExcel表を作るための具体的なコツ」を、デザイン・構成・操作テクニックの3つの視点で紹介します。
1. 見やすい表とは?最初に押さえる考え方
まず、そもそも「見やすい表」とはどういう表でしょうか?
単に色がついているだけではなく、目的に合っていて、情報がすぐに読み取れる表のことです。
たとえば次のような表をイメージしてください。
| 名前 | 部署 | 勤務日数 | 合計残業時間 |
|---|---|---|---|
| 田中太郎 | 総務課 | 20日 | 12時間 |
| 鈴木花子 | 経理課 | 19日 | 8時間 |
この表は、一見シンプルですが、すぐに情報が把握できます。
一方で、以下のような表は見づらい例です。
| 氏名 | 所属課 | 出勤日 | 残業 |
|---|---|---|---|
| 田中太郎 | 総務 | 20 | 12 |
| 鈴木花子 | 経理 | 19 | 8 |
どちらも内容は同じですが、前者の方が「タイトル」「数値の整列」「余白」などが整っていて見やすいですよね。
つまり、「データの中身」よりも「整理の仕方」が、見やすさを左右するのです。

2. 見やすい表を作るための基本ルール
① 1つの表には1つの目的を
「出勤日数」「売上」「支出」など、1つの表で扱うテーマは明確にしましょう。
あれもこれも入れてしまうと、見る人が混乱します。
例:
- 良い例:「月別売上表」「社員別勤務表」
- 悪い例:「売上+勤務時間+経費」などを1つにまとめる
② 行と列の使い方を統一する
- 行(横方向)には「項目」を
- 列(縦方向)には「データ」を
これを守るだけで、Excelが自動で認識しやすくなり、並べ替えや集計が簡単になります。
同じ種類の情報を上下にまとめるのが基本です。
③ 項目名(見出し)をわかりやすく
「売上」だけでは何の売上か分かりにくいですよね。
「1月売上(円)」のように、単位や内容を明確に書きましょう。
こうすることで他の人が見たときも迷いません。
④ 余白を恐れない
セルをギチギチに詰めるよりも、適度な余白を入れると格段に見やすくなります。
セルの幅は「文字数+2文字分」くらいがちょうどいい目安です。
3. Excelのデザイン設定で見やすくするコツ
ここからは、Excel操作を使った「デザインの整え方」です。
① 枠線ではなく罫線で整える
初期状態では、Excelには薄い「枠線」が表示されていますが、印刷や共有時に見づらくなることがあります。
そのため、明示的に罫線(けいせん)を引くことが大切です。
操作:
「ホーム」タブ →「罫線」アイコン →「すべての罫線」または「外枠+内枠」
ただし、すべての線を黒くすると重くなるため、
- 外枠は太線
- 内部は薄い灰色線
といったメリハリをつけると◎。
② 見出しを強調する
表の一番上(見出し行)は太字・背景色で強調します。
おすすめ設定:
- 背景:薄いグレー、淡いブルーなど
- 文字:黒または白でコントラストを保つ
- フォント:メイリオや游ゴシックが見やすい
③ 数値は右寄せ、文字は左寄せ
数値が中央や左にバラバラに並ぶと、桁が読みづらくなります。
ルール:
- 数字 → 右寄せ
- 文字 → 左寄せ
- 見出し → 中央寄せ
これだけで、表全体の印象がぐっと整います。
④ セルの結合は最小限に
タイトル行を大きく見せるために結合を多用すると、並べ替えや集計機能(フィルター)が使えなくなります。
タイトルだけ結合し、データ部分では使わないのが理想です。
⑤ 条件付き書式で視覚的に伝える
Excelの「条件付き書式」は、数値に応じて自動で色を変える機能です。
たとえば、「売上が目標を超えたら緑」「未達は赤」など、パッと見でわかる表が作れます。
操作例:
- 範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」→「セルの強調表示ルール」
- 条件と色を設定
これで、重要なデータを自然に目立たせることができます。

4. 見やすい構成を作るための実践テクニック
① タイトル・日付・作成者を明記
表の上に「タイトル」「作成日」「担当者名」を入れると、誰がいつ作った表なのかが一目でわかります。
例:
売上実績表(2025年3月分)
作成日:2025年4月1日 担当:総務課 吉原
② フィルター機能を活用
多くのデータを扱う場合は、「フィルター」を設定しましょう。
クリックひとつで絞り込みができ、必要な情報だけを表示できます。
操作:
「データ」タブ →「フィルター」
③ 印刷を意識したレイアウト
画面では見やすくても、印刷すると崩れることがあります。
印刷前に以下をチェックしましょう。
- 用紙設定を「A4 横」に
- 余白を「標準」または「狭い」に設定
- 改ページプレビューで1ページに収まるか確認
④ グラフを併用して視覚化
数値だけの表より、棒グラフや円グラフを入れると伝わりやすくなります。
特に報告書やプレゼン資料では効果的です。
操作:
- データ範囲を選択
- 「挿入」→「グラフ」→(棒グラフや折れ線など)
5. ショートカットキーで作業効率を上げる
見やすい表を作るには、効率の良い操作も欠かせません。
Excelのショートカットを覚えておくと、整える時間を大幅に短縮できます。
| 操作 | ショートカット | 説明 |
|---|---|---|
| 太字 | Ctrl + B | 見出しを強調 |
| 罫線 | Ctrl + Shift + 7 | 枠線を引く |
| セル結合 | Alt → H → M → M | タイトル結合 |
| 列幅自動調整 | Alt → H → O → I | 内容に合わせて幅調整 |
| フィルター設定 | Ctrl + Shift + L | 絞り込みを追加 |
これらを組み合わせると、作業スピードが格段に上がります。
6. 事例で見る「見やすい表」と「見にくい表」
【見やすい例】
| 月 | 売上(円) | 目標(円) | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 980,000 | 1,000,000 | 98% |
| 2月 | 1,050,000 | 1,000,000 | 105% |
→ 数値右寄せ・単位明記・シンプルな罫線で整理されている
【見にくい例】
| 月 | 売上 | 目標 | 達成 |
|---|---|---|---|
| 1 | 980000 | 1000000 | 98 |
| 2 | 1050000 | 1000000 | 105 |
→ 単位がなく桁数もバラバラ。見出しも曖昧。
7. まとめ:Excel表は「整理×デザイン×意図」で決まる
Excelの表を見やすくするポイントは、特別なスキルよりも基本の整理と一貫性です。
✅ 今日から実践できる5つのコツ
- 表の目的を1つに絞る
- 項目名・単位を明確にする
- 文字・数値の位置を統一する
- 罫線と色で見た目を整理
- フィルター・グラフで分かりやすくする
見やすい表は、仕事の正確さとスピードを高めます。
「誰が見ても理解できる表」を意識して、Excelの表づくりを一段レベルアップさせましょう。


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